地域生活の支援【患者家族会組織について】
精神病理解のための家族読本
ご家族の方へ
昔は一度精神の病気にかかると、鉄格子のはまった暗い病院の中で、生涯を送らなければならないというふうに考えられていました。しかし、戦後薬の研究が急速に進み、決してそれ程悲観的に考えなくてもよいようになりました。薬を飲みながら、社会生活をしながら病院の中だけではなく、家庭の中で治していこうという姿勢に治療が変わってきたのです。だからといって、簡単に全治できるものでもないのです。それだけにご家族の皆さんのご協力を必要とするわけです。
患者さまの治療に協力するご家族になって頂くために、どうしても次のことを知っておいて頂きたいと思います。
- 主治医を信頼して、何でも相談して下さい。
- 近いところにある病院にかかりましよう。
- 病気は身体的な病気と同じように、患者さまを襲った不幸な出来事なのです。
- 慢性疾患として覚悟して下さい。
- 精神障害も良くなっていく人の率が、非常に多くなっています。
- 入院中の外出や外泊も治療の一環です。
- 退院の時期は、主治医とよく相談して決めましよう。
- 退院、即治癒とは結び付かないことが多いのです。
- 家族全員の協力体制を心掛けて下さい。
- 患者さまの気持ちを理解しようと努力して下さい。
- 何でも病気に結び付けないで、普通の感情の動き“喜怒哀楽”を共感して下さい。
- 病気のために残った状態をよく理解して、患者さまを苦しめないで下さい。
- 家族自身の患者さまに対する差別的な言動を避けましよう。
- 規則的な日常生活が原則です。ご協力下さい。
- 服薬は非常に大切な事です。ぜひ励行して下さい。
- 薬にはいろいろな副作用がある場合があります。医師の指示に従いましょう。
- 再発の兆候を早めに見定めて、主治医に相談して下さい。
- 生活はできるだけ家族と一緒にして下さい。
- 仕事選びは高望みせずに、軽い仕事から始めて下さい。
治療の中における家族の役割
家族の協力が必要
精神病は肉体の病気のように医師に任せておいて治すというわけにはいきません。絶対に必要なのが家族の協力です。まず、家族が張り詰めた患者の心の窓口になり、この窓口を広げて、患者と社会の交流を図らなければなりません。家族が患者を敬遠しながら、社会に受け入れられることを願っても無理です。
家庭復帰が社会復帰の一歩です
患者が入院している時は、必ず面会に行きましょう。患者が「来るな」と言った時は、だからといってそのままにしておいてはいけません。外泊や外出を歓迎しましょう。そして、いつ退院しても喜んで迎えられるよう、準備しておきましょう。そこで事故の起こることを恐れてはいけません。事故を乗り切るために、家族が共に協力することによって、弱い心が強くなっていくのです。
家族の愛情を
どれほど医療従事者が協力しても、家族の愛情がなければ治りません。ねばり強く、患者が言うことに耳を傾けて下さい。何か訴えてきた時は必ず原因があり、それを理解してやることによって病む心は安らぎます。患者が抵抗してきた時は、求めてきた時です。最も愛情を求める人に患者は向かってくることを承知して下さい。患者の矢面に立つことに、生き甲斐を感じて欲しいと思います。
患者が何をしても嫌がり、物も言わなくなったからといって、突き放してはおしまいです。たとえ返事をされなくても、働きかけて下さい。ただし、親が悪かったから病気になったのだと悔やんだり、患者のために親はこんなに苦労していると嘆くことは、患者の弱い心の負担となって、病む心をさらに痛めつけます。患者本人は、家族が苦労している以上に苦しんでいるのです。このことを心得て「静かに見守る」ことです。家族の暖かい心によって、患者の心に張り詰めていた氷が自然に解けていくように心掛けて下さい。
家族会の役割
といっても、治るまでには10年、20年に及ぶ場合も少なくありません。この間に家族がくじけたらおしまいです。くじけぬためには、悩みを打ち明ける場、そして励まし合う場が必要です。この役割を果たすのが家族会です。この家族の集いで経験を交流することは、極めて有意義です。
家族会の役割はこれだけで終わってはならないと思います。社会復帰の道を切り開くためには、正しい医療を推進し、社会の偏見を打破して社会の受入れ条件を確立せねばなりません。この要望は、一人では達成されません。数多くの家族が結集し、団結して行動することによって、初めて要望を達成する力が生みだされます。
※これは、久保田忠義[1986年度(昭和61年度)賀茂精神医療センター(当時、国立療養所賀茂病院)家族会会長]さんの原文を理事会の責任において、まとめたものです。
独立行政法人国立病院機構 賀茂精神医療センター患者家族会規約
(名称)
第1条 この会は、独立行政法人国立病院機構賀茂精神医療センター患者家族会(愛称 まつかぜ会)(以下「この会」という。)という。
(事務所)
第2条 この会の事務所は、広島県東広島市黒瀬町南方92番地、独立行政法人国立病院機構賀茂精神医療センター(以下「賀茂精神医療センター」という。)内に置く。
(目的)
第3条 この会は、賀茂精神医療センターに係る患者の家族が互いに支えあい、学びあい、運動し、もってリハビリテーション及びノーマライゼーションの進展に資することを目的とする。
(会員)
第4条 この会の会員(以下「会員」という。)は、賀茂精神医療センターの精神科病棟に入院中の患者の家族、外来患者の家族及び退院患者の家族とする。ただし、外来患者の家族及び退院患者の家族は、この会の目的に賛同し会員登録をした者をもって会員とする。
(組織)
第5条 この会は、会員をもって組織する。
(事業)
第6条 この会は、この会の目的を達成するため次の事業を行う。
(1)会員の相互援助、相互交流及び情報交換に関すること。
(2)精神疾患、精神障害及び精神保健福祉についての学習に関すること。
(3)賀茂精神医療センターと連携して行う精神医療の質の向上に関すること。
(4)患者の社会復帰、自立及び社会経済活動への参加促進に関すること。
(5)医療制度及び社会福祉の改善等の運動に関すること。
(6)共に支えあう地域づくりの推進に関すること。
(7)その他この会の目的達成に必要なこと。
(役員)
第7条 この会に次の役員を置く。
(1)会長 1名
(2)副会長 2名
(3)理事 若干名
(4)監事 2名
2 この会の役員は、次の要領により定期総会において選出する。
(1) 理事は、会員の互選によるものとし、賀茂精神医療センターの各入院病棟及び外来等に係る会員の中から各1名以上選出するものとする。
(2) 会長、副会長及び監事は理事の互選による。
3 この会の役員の任期は、1年とする。ただし、再任は妨げない。
4 役員に欠員が生じた時は、原則として補欠選挙を行う。
5 補欠により就任した役員は、前任者の残任期間とする。
(役員の任務)
第8条 この会の役員の任務は、次のとおりとする。
(1)会長は、この会を統括し、代表する。
(2)副会長は、会長を補佐し、会長に事故あるときは会長の任務を代理する。
(3)理事は、この会の事業を執行するとともに事業の執行に必要な事項について審議決定する。
(4)監事は、第16条の任務に当たる。
(総会)
第9条 総会は、この会の最高議決機関であって、毎年1回定期総会を会長が招集する。 ただし、会長が必要と認める場合は、臨時総会を招集することができる。
2 総会に付議すべき事項は、次のとおりとする。
(1)事業計画案及び予算案
(2)事業報告及び決算報告
(3)規約の改廃
(4)その他この会の事業に関する重要事項
3 総会は、会員の過半数をもって成立する。ただし、委任状をもって意思を表示した者については、出席者とみなす。
4 総会の議事は、出席者の過半数で決定し、可否同数の時は、議長の決めるところによる。
5 総会の議長は、出席した会員の中から選出する。
(理事会)
第10条 理事会は、会長、副会長及び理事をもって構成する。
2 理事会は、必要に応じて会長が招集する。
3 理事会の会議は、出席者の過半数をもって成立する。
(顧問及び相談役)
第11条 この会に顧問及び相談役を置くことができる。
2 顧問は、賀茂精神医療センター院長及び副院長とし、会長がこれを委嘱する。
3 顧問は、会長の諮問に応じる。
4 相談役は、理事会の承認を得て会長がこれを委嘱する。
5 相談役は、会長の相談に応じる。
(オブザーバー)
第12条 賀茂精神医療センターの職員は、総会及び理事会に出席して発言することができる。
(会費)
第13条 この会の会費は、会員1人当たり月額500円とする。
2 会員は、毎月末日までに会費を納入しなければならない。
3 納入した会費は、返還しない。ただし、会費を前納したとき、正当な理由があると認められる場合はこの限りでない。
(会計)
第14条 この会の経費は、会費、寄附金及びその他の収入をもってこれに充てる。
(会計年度)
第15条 この会の会計年度は、毎年5月1日に始まり翌年4月30日に終わる。
(会計監査)
第16条 監事は、適正な経理を行うため会計について監査し、理事会及び総会に結果を報告しなければならない。
(事務局員及び会計事務員)
第17条 この会の事務局員及び会計事務員は、会長が委嘱する。
(その他)
第18条 この規約に定めるもののほか、必要な事項は、会長が別に定める。
附則
この規約は、昭和42年11月19日から施行する。
改正 昭和51年5月14日
昭和52年5月1日
昭和56年6月1日
昭和59年5月18日
昭和59年11月1日
昭和62年6月5日
平成16年5月13日
平成17年5月19日
附則
この規約は、平成19年5月24日から施行する。