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精神病理解のための家族読本このページを印刷する - 精神病理解のための家族読本

ご家族の方へ

昔は一度精神の病気にかかると、鉄格子のはまった暗い病院の中で、生涯を送らなければならないというふうに考えられていました。しかし、戦後薬の研究が急速に進み、決してそれ程悲観的に考えなくてもよいようになりました。薬を飲みながら、社会生活をしながら病院の中だけではなく、家庭の中で治していこうという姿勢に治療が変わってきたのです。それだからといって、簡単に全治できるものでもないのです。それだけにご家族の皆さんのご協力を必要とするわけです。

患者さんの治療に協力するご家族になって頂くために、どうしても次のことを知っておいて頂きたいとおもいます。

  1. 主治医を信頼して、何でも相談して下さい。
  2. 近いところにある病院にかかりましょう。
  3. 病気は身体的な病気と同じように、患者さんをおそった不幸なできごとなのです。
  4. 慢性疾患として覚悟して下さい。
  5. 精神障害もよくなって行く人の率が、非常に多くなっています。
  6. 入院中の外出や外泊も治療の一環です。
  7. 退院の時期は、主治医とよく相談して決めましょう。
  8. 退院、即治癒とは結び付かないことが多のです。
  9. 家族全員の協力体制を心掛けて下さい。
  10. 患者さんの気持ちを理解しようと努力して下さい。
  11. 何でも病気に結び付けないで、普通の感情の動き“喜怒哀楽”を共感して下さい。
  12. 病気のために残った状態をよく理解して、患者さんを苦しめないで下さい。
  13. 家族自身の患者さんに対する差別的な言動をさけましょう。
  14. 規則的な日常生活が原則です。ご協力下さい。
  15. 服薬は非常に大切な事です。ぜひ励行して下さい。
  16. 薬にはいろいろな副作用がある場合があります。医師の指示に従いましょう。
  17. 再発の兆候を早めに見定めて、主治医に相談して下さい。
  18. 生活はできるだけ家族と一緒にして下さい。
  19. 仕事選びは高望みせずに、軽い仕事から始めて下さい。
 

治療の中における家族の役割

家族の協力が必要

精神病は肉体の病気のように医師に任せておいて治すというわけにはいきません。絶対に必要なのが家族の協力です。まず家族がはりつめた患者の心の窓口になり,この窓口を広げて患者と社会の交流をはからなければなりません。家族が患者を敬遠しながら、社会に受け入れられることを願っても無理です。

家庭復帰が社会復帰の一歩です

患者の入院しているときは、必ず面会に行きましょう。患者が「くるな」と言ったときは、だからといってそのままにしておいてはいけません。外泊や外出を歓迎しましょう。そして、いつ退院しても喜んで迎えられるよう、準備しておきましょう。そこで事故の起こることを恐れてはいけません。事故を乗りきるために、家族が共に協力することによって、弱い心が強くなっていくのです。

家族の愛情を

どれほど医療従事者が協力しても、家族の愛情がなければ治りません。ねばり強く言うことに耳を傾けて下さい。何か訴えてきたときは必ず原因があり、それを理解してやることによって病む心は安らぎます。患者が抵抗してきたときは、求めてきたときです。もっとも愛情を求める人に患者はむかってくることを承知して下さい。患者のやおもてに立つことに、生き甲斐を感じて欲しいと思います。

患者が何をしても嫌がり、物も言わなくなったからといって、突き放してはおしまいです。たとえ返事をされなくても、働きかけてください。ただし、親が悪かったから病気になったのだと悔やんだり、患者のために親はこんなに苦労していると嘆くことは、患者の弱い心の負担となって、病む心をさらに痛めつけます。患者本人は、家族が苦労している以上に苦しんでいるのです。このことを心得て「静かに見守る」ことです。家族の暖かい心によって、患者の心にはりつめていた氷が自然に解けていくように心掛けて下さい。

家族会の役割

といっても、治まるまでには10年、20年におよぶ場合も少くありません。この間に家族がくじけたらおしまいです。くじけぬためには、悩みを打ち明ける場、そして励まし合う場が必要です。この役割を果たすのが家族会です。この家族の集いで経験を交流することは、極めて有意義です。

家族会の役割はこれだけで終わってはならないと思います。社会復帰の道を切り開くためには、正しい医療を推進し、社会の偏見を打破して社会の受入れ条件を確立せねばなりません。この要望は、一人では達成されません。数多くの家族が結集し、団結して行動することによって、はじめて要望を達成する力が生みだされます。

賀茂精神医療センター患者家族会

※これは、賀茂病院家族会第7代会長さんの原文を家族会理事会の責任においてまとめたものです。

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